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東京高等裁判所 昭和34年(く)106号 決定 1959年11月11日

少年 Y(昭一九・三・二二生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告申立の理由は、抗告申立人名義の抗告申立書に記載してあるとおりであり、その要旨は、原裁判所は昭和三十四年九月二十一日本件少年に対して強盗、恐喝等保護事件について、少年を初等少年院に送致する旨決定したが、現下の情勢においては少年を遠隔の初等少年院に送致しても優良な少年として社会に更生させることは至難であると思われ、むしろこの際少年を両親の居住する地元教護院に入所させ、両親とも面会させ、両親も共々教化に努めることができるような環境において保護処分をするのが相当であると認められるので、原決定を取消した上、教護院に送致する旨の決定をされ度いというに帰するのである。

よつて按ずるに、本件保護事件記録を調査するに、原決定には決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認等はいずれも存在しないこと。本件の少年はさきに昭和三十四年八月十日窃盗、恐喝等保護事件によつて横浜家庭裁判所により横浜児童相談所に送致され同月十四日より教護院向陽学園に入園させられたが、二日目に逃定し自宅に立帰り、教護院職員の帰園の勧告にも従わなかつたこと、少年の両親は共に少年に対する指導、監督能力も十分でないし、右保護処分についても不協力の態度であつたこと、少年はその知能低劣で性格的にかたよつていたのみならず、その非行歴も相当深化していたこと等が認められるので、原裁判所が本件少年は既に送致すべき段階ではないとして、初等少年院に送致する旨決定したのは相当という外なく、原決定は何らこれを不当視すべき点はないから本件抗告はその理由がない。

よつて少年法第三十三条第一項、少年審判規則第五十条により主文のとおり決定する。

(裁判長判事 三宅富士郎 判事 東亮明 判事 井波七郎)

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